玉川 キミ 1
玉川 キミは女子高校生の闇斬人。頭(コウベ)という頭が腐敗した侍が取り憑いている。
ある1人のクラスメイトを異常なほど好いており、彼女の為ならいくらでも侍を憑依させる。
頭(コウベ)はやる気のない侍。いつも生返事だが、キミの言うことは大体聞いている。
ああ...可愛い。今日も可愛いわ......昼休みまでもう少し。ふふ。
『ぉい、キミ、何がおかしいんだぁ?』
.....邪魔だわ。
『キミぃ....きぃてんのかぁ?』
(聞こえてるわよ、別に何かが面白いとかじゃないの。放っておいてよ。)
私に取り憑いた頭(コウベ)とかいう侍、べらべら喋るタイプじゃないし、なんかどっかの警官みたいにやる気あってうるさいでもないからいいんだけど、ちょっと構ってちゃんなのよね。
キミはふと窓の外をみた。校庭に何やら黒いモヤが見える。
(....闇の物?)
『雑魚だな、放っておけばここにいる侍が殺るだろ。』
(そうね...あの子に近づかなきゃそれでいいわ。)
授業が終わり、キミは弁当を広げる。綺麗に四角い卵焼き、昨日特売で買った冷凍食品のハンバーグに、レタスとプチトマトで彩を揃える。今日は上手く作れたなと弁当を見つめながら箸を取る。
『お前、誰かと食ったりしないのか。』
(いいのよ、そういうの面倒くさい)
手を合わせて、小さくいただきますと呟く。
『ふぅん...なぁ、さっきの雑魚、もうそこまで来てるんだが。』
(....あの子が無事ならそれで......)
ふとあの子がいるはずの場所を見る。が。
いない。あの子がいない。
まさか、ダメよ。
キミは立ち上がると気配を探る。淀んだ、湿った、嫌な気配。
そこは理科室だった。だがおかしい...
『なんだぁ?霊気が無くなったぞぉ?』
理科室の扉を開くとそこには、あの子がいた。一瞬、狐の影が見えた気がするが、気の所為...
「なわけないわよ。うそ、あなた...」
コウベが愉快そうに笑う。
『ぉいぉい、アイツ...そうか闇斬人かあ、しかもありゃあ...ははっ、おいお嬢、コイツ斬りたい。』
あの子が微笑んだ。そして手を前にやる。
来る。
殺気がキミを包み込む。キミも同じように笑みを浮かべると、自らの掌を切った。するとドロっと額が爛れる。
最っ高。殺したいほど愛しいあなた。
『へへっ、いいぜぇお嬢...やる気じゃないの、くくくっ...』
爛れた顔に包帯を出して巻く、いつも戦う時に使う、あの子がくれた、目の前の愛しい子がくれた包帯。
「玉川キミ」
『頭』
「参る」
『いくぜぇ?』
玉川キミ 1 終
あとがき
玉川キミの登場SSですが、当初はここまで変な子にするつもりはありませんでした。
コウベはすごい良い奴ですよ。これからわかります。
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